new 「私の」アミガサタケ  投稿者:ゆきのこ 投稿日:2014/04/25(Fri) 05:26 No.6060

数年来「アミガサタケ」が気になっていた。一度も見たことがない上にポーランドでは
同仲間の多くが「保護きのこ」「絶滅のおそれのあるきのこ」となっていて採取禁止だ。
去る3月下旬ポーランド南部のきのこ会がハンガリーのきのこ会の観察会に招待されたのを機に
ジョイントさせてもらう。時期は少し早かったようだがポーランド組はたくさんのアミガサタケ
の仲間Ptychoverpa bohemica (オオズキンカブリ)を見つけた。
クリームバスタにしたが、味も言われるがごとく非常に美味だった。

グダンスクに戻ってから、なぜか気分はくすぶっていた。そして私は気付いた。
確かに「オオズキンカブリ」を見つけたがあれは「私」が見つけたのではない。
ハンガリーのきのこ会のテリトリー内でその場所を誘導されたにすぎないのだ。
なぜハンガリーでなのか。それはポーランドのきのこ会の世話役がハンガリー語を話すからに他ならない。
もうすぐシーズンも終わってしまう。その前に自力で「私の」アミガサタケを見つけたい」。

こんな思いが募り、イースター休暇にアミガサタケ採りを計画する。
今回のポイントは「自身の思いのままにアミガサタケを探すこと」。
パートナーからは行かないと言われ、一人で決行することに。
場所はポーランドではない隣国、スロバキアを選ぶ。
ドイツでもいいかもしれないが、「ドイツできのこ狩り」なんてピンとこない。偏見だね。
私は車を運転しない(できなくなってしまった)ので基点として手っ取り早くブラチスラバを選定。
最終的に市内よりおよそ20km地点の郊外の森(?)に狙いをつけ、森の近くの宿をとる。

宿に着いたときは土砂降りだった。
きのこ探しはあした1日限りだ。この雨が果たして吉を招くか凶を招くか。。

4月20日イースター、きのこ採り日和。
朝9時の舗装道路はまれにしか車影がない。宿のオーナーは安全な森だと言っていたが。
宿から森の入口までおよそ2kmだったが、途中であきらめて引き返し始めた。
人影があまりにも少なく怖くなったからだ。安全にはかえられない。。11時ごろだろうか。気付いてみると人影がちらほら。
マウンテンバイクの仲間、車で森へ向かう人等のゆるやかな波を感じる。「これなら大丈夫だ」。
再び森へ向かう。そして森の入口らしきには看板が。「ここ、国立自然保留地じゃない!」
まさかのラッキー。ポーランドのように木に道しるべもあり、気をつけていたら迷うこともなかろう。
上から垂れてる尺取虫(?)と戦いながらも時々きのこを見つけた。
1時ごろだろうか、水溜りで前へ進めなくなり、やもうえず引き返すことに。
ここで林業関係者の子供だろうか、10才くらいの少年がこちらへ向かってくる。
ニコッ。「こんにちは。どうしたの。その魚」
「そこの池に戻すんだ。」
「へえ。」
少年は小さな魚をビンから池へ戻す。
「私、日本人でポーランドから来てるんだけど、きのこを探してるの。きのこのあるとこ知ってる?」
思いっきりポーランド語。スラブ語圏であるスロバキア人の少年、
なんとなくでも私の言ってること理解できるかもしれない、と思って。会話の最中は「ふん。ふん」と煮えきらんような返答をしている。
「じゃあ連れてって。」と言うと歩き出すじゃないか。
「この近く?」
「ふん」
後をついて行き、あるところに来ると彼は倒木をひっくり返す。
キクラゲの仲間(Auricularia auricula-judae)だ。。
「ありがとう」
アミガサタケについて絵を描いて説明したが、彼は知らなかった。
「じゃね」ポーランドのチョコレートをあげ「Happy Easter!」
感慨にひたって歩いていると、目にとびこんできた、「あの」足が! 信じられなかった。昨日の雨のせいか、頭がうなだれているものが多かったが、計5本ほど。
「私の」アミガサタケだ。。
[Morchella semilibera (トガリフカアミガサタケ)]
神様は私の願いをかなえてくれた。





new Re: 「私の」アミガサタケ  たにし - 2014/04/25(Fri) 19:37 No.6062

トガリフカアミガサタケに出会えて幸運でしたね。私はトガリアミガサタケ、アミガサタケ、ヒロメノトガリアミガサタケしか出会ったことがなく、トガリフカアミガサタケもオオズキンカブリも実物は見たことがありません。それにしても国を超えてきのこを探す行動力には感服します。私ももう少し探す努力をしないといけませんね。情報を楽しみにしています。